神話的空間である中国山地に抱かれた太田川の源流から、幾多にも分岐していくデルタ地形は、土地の隆起などの自然的要因に加え、たたら製鉄や干拓などの人為的要因も絡み形成されていった。人々の暮らしは常に自然との関わり合いの中で紡がれてきた。このプロジェクトでは、デルタの流体が作り出す時間感覚を拠り所とし、源流から下流までの風景や記憶を辿りながらリサーチを行い、イメージ、身振り、言葉を立ち上げ最終的な映像作品の制作を目指していく。
映像制作に関わる参加者たちは、一時的な共同体を形成し、レクチャー、ワークショップ、撮影を通して、“如何にして夜明けを見ることができるか” という問いに向き合う。スタジオで撮影されたパフォーマーの身振りと身体は、現実の風景と一体となり、川底から、複層的な記憶を纏ったヴィジョン(幻影)として出現する。古代から現代まで脈々と続く自然と人々の営みの蓄積、そして戦後 80 年経とうとしている広島で、今を生きる私たちがどのようにして土地や他者、過去と関わり直すことができるのか、その身体性のあり方を問う試みである。
プロジェクト参加者
・ディレクター 吉田真也
・パフォーマー 中西あい、中田絢子、善岡宏和、高山太一
・ナレーター 中川晶一朗(詩人)、他
・撮影 伊東良隆、他
レクチャー、WS、撮影WS(今年度)
①レクチャー〈夜明けを想像する〉 3/2 場所:広島市現代美術館、 雁と鶴
広島の戦後以降の時間を考える人物として、“殿敷侃”に着目する。彼が掲げた“逆流の芸術思想”と絶筆である“僕は夜明けを信んじた”という二つの言葉から連想される時間について想いを巡らし、自分と他者の繋がりについて考える。
(第1部:広島市現代美術館学芸員の松岡さんによる殿敷侃のレクチャー、第2部:吉田によるプロジェクトの説明とディスカッション) ※講師:松岡剛、中川、中西、中田、吉田(撮影)
②ワークショップ〈夜明けを想像する/身体のエクササイズ〉
①のレクチャーを踏まえ、実際に身体を動かしながら身振りを考案していく。ワークショップは映像記録される。 ※参加者:中西、中田、善岡、高山、(他撮影)
③スタジオ撮影WS〈デルタの幻影〉
クロマキーを用いた撮影によって、広島の川の風景とパフォーマーの身体が一体となる映像を作り出していく。撮影の様子は映像記録される。 ※参加者:中西、中田、善岡、高山、伊東(撮影)
助成:エネルギア文化・スポーツ財団



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