
反響する共同体
「Reflecting Hiroshima – リフレクティング・ヒロシマ」は新たな時代の訪れを前にして、死者の声を紡ぎ、他者との出会いを通し、ここ広島で表現活動を展開することを目的とした共同体です。異なる分野で活動するアーティスト、ダンサー、アートマネージャー、研究者が共同し、互いの創造性を反響させながら広島における表現や対話の可能性を探求します。(Ⅰ)死者や他者と出会い直す(Ⅱ)場所性の回復(Ⅲ)歴史への応答 を軸に様々なプログラムを実践していきます。
プロジェクトについて
“すべての別離がさりげなくとりかはされ、すべての悲痛がさりげなくぬぐはれ、祝福がまだ ほのぼのと向に見えてゐるやうに” — 原民喜「悲歌」



“広島と長崎に原爆が投下されてからまもなく80 年が経とうとしている。世界では新たな戦争が暗い影を落とし、核の脅威と共に「ヒロシマ」にも再び光があたり始めている。また近い将来訪れる原爆体験者やその肉声が完全に消失する世界を前に、彼らの声を受け継ぎ次の世代へと繋げていく伝承の実践はより一層重要なものとなるだろう。そうした一つの時代が次の時代へと触れ合い、溶けていくとき、アーティストもまた自分たちの創造性によって人々や時代を繋ぐ媒介者にどのようにしてなり得るだろうか。私たちはプロジェクトを通し、今ではすっかり過去や死者への想像が及ばなくなった平和都市の中で、”見えざるもの”を幻視し、人々と土地を接続することを試みます。同時に象徴化したグラウンド・ゼロの都市の周縁で埋もれてしまった文化や記憶、物語を再発掘していくことを実践していきます。
プロジェクトメンバー

吉田真也 Yoshida Shinya
1994年青森県生まれ、広島市在住。アーティスト。東京藝術大学大学院映像研究科修了。文化的、社会的、歴史的性格に基づいた土地固有の営みの蓄積に着目し、複数の記憶を呼び覚ますような作品を制作する。主な展覧会に「札幌国際芸術祭2020」、国際交流基金主催 オンライン展覧会「距離をめぐる11の物語:日本の現代美術」、「Making things 2022」国際芸術センター青森などがある。広島では平井亨季と共に主催した展覧会「歩行の筆跡(ほこうのディスクール)」で映画「ヒロシマモナムール」を扱った作品を発表している。

山本功 Yamamoto Isao
1992年広島市生まれ。京都大学文学部で人文地理学を専攻後、公益財団法人福武財団にて直島コメづくりプロジェクトを担当。その後、2018年より地元広島に拠点を移し、瀬戸内地域のアーティストを紹介するアートマネジメント事業や調査事業等を手掛ける。2021年からは自社施設「タメンタイギャラリー鶴見町ラボ」を運営し、美術だからこそのやり方で場所性、空間性へのアプローチを行う企画を中心に、実験的、挑戦的な展示を定期的に開催している。タメンタイ合同会社代表社員、アートマネージャー。

岩手萌子 Iwate Moeko
広島出身。ダンサー・振付家。こどものためのダンスのアトリエ「もえこさんdance」主宰。自身も舞台に多数出演しながら、こどもたちから湧き出る動きを大切に、からだで表現する楽しさを伝える。アーティスト・コレクティブ「踊り子の休日」を企画。広島県廿日市市認可保育園アトリエREIレイこども舎ダンス講師。



